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第13回消防設備雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社松場防災設備、更新担当の中西です。

 

~多様化~

地震・台風・水害・火災・感染症など、現代社会が直面する災害リスクは複合化・多様化しています。そのような中で、防災設備業も従来の「火災報知機や消火器の設置」だけにとどまらず、高度化・総合化・個別対応化の方向に大きく舵を切っています。

防災設備業における多様化の実態を、「対象設備の拡張」「技術革新」「地域社会との連携」「デザイン性・快適性への対応」「感染症やBCP対応」などの観点から深掘りし、現代社会で果たす新たな役割を明らかにします。


1. 対応分野の拡張:火災対策から“あらゆる災害”への備えへ

従来、防災設備業といえば火災を中心とした設備(消火器、スプリンクラー、自動火災報知器など)の設置・点検が中心でした。しかし現在では、自然災害・人的災害・感染症リスクなど多様な脅威に対応する設備が求められています。

● 多様な災害に対応した設備例

  • 地震対策設備(感震ブレーカー、防災ラック、転倒防止器具)

  • 風水害対策設備(止水板、排水ポンプ、簡易堤防)

  • 感染症対策設備(自動検温装置、非接触型消毒スタンド、陰圧室機材)

  • 避難誘導・通信設備(非常用照明、誘導灯、非常用無線、発電機)

このように、災害の種類に応じた多機能かつ複合的な設備提案が防災設備業者に求められるようになっています。


2. 防災DX・スマート化への対応:IT×防災の融合

近年、防災分野でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んでおり、IT技術を駆使した高度な防災システムの設計・施工・メンテナンスが新たな業務領域として拡大しています。

● 防災設備のスマート化事例

  • IoT火災報知システム(遠隔監視・自動通報)

  • 防災カメラとAI連携による火元検知・侵入警報

  • スマートビル対応の中央監視システムとの統合

  • モバイルアプリと連携した避難情報通知

防災設備業は、いまや「設備工事」ではなく、ITベースの情報インフラ設計業としても多様化しています。


3. 顧客・対象建物の多様化:一般住宅から公共施設、商業施設、工場、福祉施設へ

従来の防災設備は主にビルやマンションを中心に展開されていましたが、現在ではさまざまな建物・施設に応じたオーダーメイド型の提案が主流になりつつあります。

  • 高齢者施設・病院向けの避難支援設備(可搬式階段昇降機、音声案内誘導)

  • 保育園・学校向けの地震対策・訓練支援設備

  • 工場・倉庫向けの火災・漏電・爆発対策設備

  • 戸建て住宅へのミニマル防災設備セット

それぞれの施設の用途・人員構成・建物構造に応じたカスタマイズ対応が重要となっています。


4. 美観・デザイン性への配慮:見せる防災設備へ

防災設備はかつて「機能重視で無骨」という印象が強かったものの、近年ではデザイン性と調和する防災設備のニーズも高まっています。

  • 建築家・デザイナーと連携した意匠設計

  • カラーバリエーションのある消火器・収納ボックス

  • カフェやホテルの空間と馴染むインテリア型避難誘導灯

  • 一体型家具(椅子・棚)に収納可能な防災用品

とくに商業施設やオフィス、宿泊施設では、防災とブランディングの両立が求められています。


5. BCP・感染症対策との融合:総合リスクマネジメントへの発展

感染症リスクやパンデミックによって、BCP(事業継続計画)との連携も重要性を増しています。防災設備業は、火災や地震のみならず、企業や施設の運営継続性を守るための総合的設備設計にも関わるようになっています。

  • 自家発電装置・蓄電池・衛星電話による通信インフラの確保

  • 感染症対策ゾーニング(換気設計、仕切り設備)

  • 社員・住民へのBCP訓練支援、マニュアル作成サポート

これにより、防災設備業はリスクコンサルティングの要素を含む新たな専門業種としての地位を確立しつつあります。


防災設備業は「災害から守る設備業」から「社会を支える防災総合サービス業」へ

社会の不確実性が高まる中で、防災設備業は単なる設備設置にとどまらず、災害を見据えた都市・建築・人の暮らしを総合的に支える業種へと進化しています。

その多様化は、

  • 災害の種類への対応(地震・火災・感染症など)

  • 技術の進化(IoT・AI・BCP)

  • 対象施設・顧客の細分化

  • 空間美観・体験価値の両立

  • 社会的責任への対応(地域防災・教育)

といった面に現れており、今後もさらなる拡張が期待されます。

防災設備業は、今や“設備業”の枠を超えた、未来の安全を創る社会インフラの担い手なのです。

 

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