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月別アーカイブ: 2025年8月
第16回消防設備雑学講座
皆さんこんにちは！
株式会社松場防災設備、更新担当の中西です。
～リスク別設備選び～
厨房の油火災、工場の粉塵・溶剤、充電設備のリチウムイオン電池——“燃えやすい現場”には、一般ビルと違う対策が必要です。ここではリスクに合わせた設備選びと、**DX（デジタル点検）**までを、実務で使える粒度で解説します。⚙️
1) リスクを分類する
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厨房（揚げ物・グリドル）：油過熱・グリス堆積・ダクト内着火
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溶剤・塗装ブース：引火性蒸気・静電気・換気不良
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️ 粉塵（製粉・木工）：浮遊粉塵の爆発・堆積粉塵の二次爆発
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蓄電・充電エリア（Li-ion）：熱暴走・再燃リスク
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溶接・切断：火花・スパッタの周囲可燃物着火
2) 厨房の“鉄板”対策 ️
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調理油用自動消火装置（フード/ダクト/レンジ連動）
→ ふた・薬剤・ガス遮断が同時に働く設計が安心 -
グリスフィルタ清掃＆ダクト定期洗浄
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ガス遮断・非常停止ボタンの“見える化”
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熱・煙感知の最適化：蒸気が出るゾーンは熱感知中心に
実例：フード内自動消火＋ガス遮断で、深夜の油過熱を自動鎮圧。復旧は開店前に完了。
3) 工場・ブースの“正しい組合せ”
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泡消火設備：可燃性液体に強い（貯槽/受け皿のサイズに合わせる）
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不活性ガス消火（窒素/アルゴン系）：人員在室の安全を考慮し、警報→退避→放出の手順を徹底
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防爆型機器＆アース/静電対策：着火源を作らない
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熱・炎感知の併用：高粉塵や蒸気で煙感知が不利な現場に
4) 粉塵リスクの要点 ️
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局所排気＋ダクト内火花検知→スパーク消火
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掃除＝防火：堆積粉塵は発火→二次爆発の燃料
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粉塵対応感知器（加熱式/炎感知）を選定し、位置と高さを設計
5) リチウムイオン電池の“現実解”
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早期検知：温度/ガス（VOC/CO）センサの多点配置
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冷却・隔離：金属バットや耐火ボックス、水冷却での延焼遅延
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充電管理：過充電防止、隙間確保、保管温度の管理
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大量保管・大容量設備は必ず所轄消防へ事前相談
一度暴走すると再燃が起きやすいのが特徴。初期消火＋冷却＋監視の三段構えが鍵です。
6) DXで“見える・残る・止まる”を実現
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クラウド台帳：QRで設備・履歴・写真を紐づけ
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遠隔アラート：受信機警報をSMS/アプリで即時共有
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点検アプリ：チェックリスト自動生成、是正依頼をワンボタン
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データKPI：誤報率・復旧時間・交換周期をダッシュボードで可視化
7) 導入ステップ（厨房/工場 共通） ️
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現状調査：火気・油・粉塵・溶剤・充電の有無、換気量
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法令ヒアリング：用途・規模に応じ所轄消防と事前相談
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基本設計：感知方式・消火方式・電源・遮断連動
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施工計画：休業・夜間・エリア分割など操業影響を最小化
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試験/検査：連動・遮断・放出・復帰の一連シナリオを実機で
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教育/訓練：初期消火・避難・再開手順を動画＋現場訓練で浸透
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運用：DX台帳で点検→是正→更新を回す
8) 現場あるあるQ&A ❓
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Q：粉塵が多くてよく誤報します…
**A：**感知種別の見直し（熱/炎）＋感知器高さ変更、ダクト負圧でゾーン分けを。 -
Q：夜間の無人厨房が不安…
A：フード自動消火＋ガス遮断＋遠隔アラートの“三点セット”で検知→遮断→通知を自動化。 -
Q：充電ラックを増やしたい
**A：**ラック間隔・温度監視・ケーブル容量を再設計。大量設置は事前協議が安全。
9) 厨房/工場 15チェック ✅
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熱源の自動遮断ボタン位置
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フード/ダクトの清掃周期
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感知器の種類・高さ・距離
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消火器の薬剤種別（油/電気/金属）
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電源・ガス遮断の連動
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泡/ガス放出時の退避ルール
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防爆型器具/アースの整備
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局所排気の風量・フィルタ️
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粉塵の堆積管理
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Li-ion温度/ガス監視
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充電エリアの空間確保
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避難経路・誘導灯
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非常電源の負荷試験
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訓練（年2回目安）
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DX台帳の更新率
“燃えやすい現場”は、設備の“組み合わせ”が命。
厨房は自動消火＋遮断＋清掃、工場は消火方式＋防爆＋排気、充電エリアは監視＋冷却＋隔離で立体防御を。
第15回消防設備雑学講座
皆さんこんにちは！
株式会社松場防災設備、更新担当の中西です。
～通る・止めない・ムダを作らない～
消防設備は“設置して終わり”ではありません。法令適合（通る）、故障ゼロ（止めない）、**コスト最適（ムダを作らない）**を同時に満たしてこそ、建物の価値は上がります。本稿は、管理者・オーナー・施設担当向けに、点検から改善、KPI設計までを実務目線でまとめた保存版です。
1) まず俯瞰：設備ラインナップと役割
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自動火災報知設備（自火報）：感知→受信→警報
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スプリンクラー / 水噴霧 / 泡：自動的に放水し初期消火
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消火器：粉末/強化液/二酸化炭素など用途で使い分け
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屋内/屋外消火栓・連結送水管：消防隊の放水インフラ
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誘導灯・非常照明：避難経路の“見える化”
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️ 排煙設備：煙を抜き視程を確保
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非常放送・非常用電話：情報を正しく届かせる
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非常電源（非常用発電機・蓄電池）：停電時の命綱
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防火戸・防火シャッター：延焼を区切る“建築側の装置”
どれか一つでも機能不全だと“全体の安全度”が下がるのが消防設備の特徴です。
2) 点検サイクルの考え方 ⏱️
一般に機器点検（おおむね6か月ごと）と総合点検（おおむね年1回）の二層で運用するのが標準です。
ただし建物用途・規模によって報告頻度が異なるので、所轄の消防へ事前確認を。
点検の基本フロー
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事前計画（エリア・停電/断水手順・代替警備）
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作動試験（受信機・感知器・音響・表示灯）
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放水/加圧試験（必要に応じて減殺措置）
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誘導灯・非常照明の照度・点灯確認
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設備台帳・是正票の更新 → 是正工事 → 報告
3) “通る”ための設計図：法令・図面・台帳の三位一体 ️
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法令/条例の確認：用途変更・増改築・テナント入替時は要注意
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図面の最新化：平面・系統・配線・バルブ系統をクラウド保管
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台帳の標準化：QRで設備個体を紐づけ、交換履歴と写真を一元管理
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是正の優先度付け：A（危険・重大）/B（要計画）/C（改善）で即断
4) “止めない”ためのKPI設計
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MTTR（平均復旧時間）
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故障件数/100台（感知器・誘導灯・発信機など品目別）
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点検実施率/是正完了率
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誤報発生率（誤作動要因を除去）
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水圧・放水量・電池容量の健全率
KPIは月次レビュー＋年次の更新計画（更改・増設）に直結させましょう。
5) コスト最適化の鉄則 ️
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消耗品の先回り更改（誘導灯バッテリー・感知器の経年）
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共通部材の在庫化（予備機・弁パッキン・表示灯）
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複数設備の同時停電/断水で一括試験＝工数圧縮
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誤報の原因学習（熱源・蒸気・粉塵・害虫）→ 感知器種類の見直し
6) ケーススタディ
ホテル：誤報月3件 → 0.3件に
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厨房周辺の煙感知→熱感知へ変更、換気連動強化
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誘導灯1系統に予防的バッテリー交換
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誤報要因を毎回ログ化→ 3か月で誤報90%減
7) 現場で使える10チェック ✅
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受信機：ランプ・表示・履歴
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感知器：汚れ・作動・設置環境
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発信機：押しやすさ・復帰
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音響・放送：全域で可聴
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誘導灯：点灯・バッテリー・破損
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消火器：圧ゲージ・腐食・有効期限
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消火栓：ホース・ノズル・水圧
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連結送水口：キャップ・ゴミ・パッキン
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排煙：作動・復帰・障害物️
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非常電源：始動・負荷運転・燃料/蓄電
**“通る・止めない・ムダを作らない”**は、
**計画（法令）→ 点検（KPI）→ 是正（優先度）**のループで実現できます。
