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月別アーカイブ: 2025年4月

第8回消防設備雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社松場防災設備、更新担当の中西です。

 

~法律~

ということで、今回は、消防設備業において関係する法律体系と、その実務上の意味・注意点を深く掘り下げて解説いたします。

 

「法」を知らずして、命を守ることはできない

火災から人命と財産を守るために、建物に設置されている消防設備
その設計・施工・点検・報告を行う消防設備業者には、法律に基づいた専門知識と義務遂行能力が求められます。

「何となく工事している」「ルールを知らずに点検している」
そんなことがあってはならないのが、この業界です。


✅ 消防設備業を支える法律の体系とは?

消防設備業に関係する主な法令は以下の通りです

法律・制度名 主な内容
消防法 消防設備の設置義務・点検・報告制度などの根幹法
建築基準法 建築物の構造と防火規定(避難設備、区画など)
消防法施行令・施行規則 消防設備の種別・基準・構造仕様の詳細を定める
消防用設備等の技術上の基準(告示) 設置基準・試験基準・性能要件の具体的な内容
消防設備士法(消防法附則) 国家資格の要件・業務範囲・更新など

これらの法令はすべて「消防法」を中心に構成されており、特に消防設備業は法に基づいた職務遂行が求められる、資格業務です。


✅ 消防法とは? 〜設備業にとっての“命綱”

🔥 消防法の目的(第1条)

この法律は、火災の予防および警戒、消火活動の強化、避難・救助の確保を目的とし、もって公共の安全と国民の生命・財産を保護することを目的とする。

つまり消防法は、火災から人命を守るための「事前予防の仕組み」を定める法律であり、その中でも消防設備は「防災の最前線」として位置づけられています。


✅ 消防設備業における主な法律対応ポイント

① 消防用設備等の設置義務(消防法第17条)

内容

  • 建物の用途・規模・階数に応じて、消防用設備の設置が義務付けられる

  • 例:スプリンクラー、自動火災報知設備、非常警報設備、誘導灯など

実務上のポイント

  • 建物の増改築・用途変更があった場合、再評価と再設置の検討が必要

  • 不適合放置は、是正命令・使用停止命令の対象になることも


② 消防設備士制度(附則第1条/消防設備士法)

内容

  • 一定の消防設備の設計・工事・整備・点検は、国家資格者でなければ行えない

  • 消防設備士(甲種・乙種)の種別により、対応可能な設備が異なる

種別 対象設備
甲種第1類 屋内・屋外消火栓設備、スプリンクラー
乙種第6類 消火器(もっとも実務で多い)
甲種第4類 自動火災報知設備、ガス漏れ警報設備

実務上のポイント

  • 資格の不正使用や無資格者施工は法令違反となり、営業停止のリスクあり

  • 「名義貸し」や「書類上だけの関与」は絶対にNG


③ 設備点検と報告の義務(消防法第17条の3の3・3の4)

内容

  • 消防用設備は、設置後も定期的に点検(6ヶ月/1年)と報告が必要

  • 点検は有資格者(消防設備士または点検資格者)が実施

  • 建物の関係者(所有者・管理者)は、消防署に報告義務あり

実務上のポイント

  • 点検結果に不備があると、是正勧告・立入検査・罰則の対象

  • 点検報告書は、所轄消防署ごとの指定様式を使用(地域差あり)


④ 虚偽報告・不正工事への罰則(消防法第44条)

内容

  • 点検結果や工事内容に関して虚偽報告を行った場合、30万円以下の罰金または懲役刑の対象

  • 消防用設備の機能を妨げる改造・撤去も違法行為

実務上のポイント

  • 誤報を避けるための「報知器の一時停止」なども、消防署と事前協議が必要

  • 点検結果を改ざんしたり、不備を放置したまま書類提出すると厳しい処分を受ける


✅ 建築基準法との関係性

消防設備は、建築基準法の「防火区画」や「避難経路」とも密接に関係しています。

関連点 実務での注意
避難経路 誘導灯・非常灯の設置位置に直結
防火区画 スプリンクラー・火災報知器の系統分離
階段・出入口 非常警報設備の操作盤設置位置が決定

👉Point: 増改築工事の際は、消防法と建築基準法を“セットで”確認する必要があります。


✅ 最新の法改正動向に注意

消防法は、災害事例や新技術の普及を受けて定期的に改正されています。

  • 2023年:蓄電池設備に対する火災警戒義務の強化

  • 2024年:マンション共有部のスプリンクラー義務化対象拡大

  • 2025年予定:スマート建築物における感知器連携基準の見直し

👉Point: 「一度覚えた知識で永遠に対応できる業界」ではありません。最新の通知・告示にも定期的に目を通しましょう。


✅ 消防設備業にとって法律は“現場の羅針盤”

消防設備業における法律は、単なる「お上の決まりごと」ではありません。
それは火災が起こったときに、人命を守るための“責任と誓約”です。

  • 法に基づく正しい設計

  • 法に則った確実な施工

  • 法定に準じた点検・報告

  • 誠実な対応と記録管理

こうした積み重ねこそが、
「あなたの工事で命が守られた」という評価につながります。

だからこそ、消防設備業に従事する私たちは、
“法を知り、法を守り、法に誠実に向き合う”プロであるべきなのです。

 

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第7回消防設備雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社松場防災設備、更新担当の中西です。

 

~確認事項~

ということで、実務で押さえるべき消防設備業の事前確認事項を、設計・施工・点検のフェーズごとに詳しく解説します。

 

命と財産を守る設備だからこそ、確認は“準備”ではなく“責任”

ビル・工場・マンション・学校・病院など、あらゆる建物において、消防設備は「命を守る最後の砦」です。
しかし、消防設備の設置・更新・保守点検の現場では、「あとからの手直し」や「届出の不備」など、事前確認を怠ったことで起こるトラブル
が少なくありません。

消防設備業のプロとして、工事の前に確認すべきこと、点検に入る前に把握しておくべきことは何か。


✅ フェーズ①:新設・改修工事前の事前確認事項

🔹 1. 法的基準の確認(消防法・建築基準法)

消防設備の設置には、建物の用途・規模・構造によって異なる設置義務があります。

確認項目 内容
建物用途 特定防火対象物/非特定防火対象物(飲食店、病院、旅館等)
延べ面積・階数 自動火災報知設備やスプリンクラーの設置義務に直結
地下階・避難階 非常放送・誘導灯の設置が必要になる場合あり

👉Point: 施工計画前に、消防本部・管轄消防署と協議を行うことが最も確実です。


🔹 2. 消防用設備等の設置対象と内容の確認

  • 自動火災報知設備

  • 誘導灯・非常灯

  • 屋内消火栓設備・スプリンクラー設備

  • 連結送水管・消火器設置

  • 非常警報・放送設備

👉Point: 設置図面が古い場合、最新の法改正内容に基づく見直しが必要なこともあります。


🔹 3. 他業種との工程調整・連携

  • 電気工事業者との接続確認(非常電源・電圧仕様)

  • 建築業者との工事工程のすり合わせ(壁内配線や配管スペース)

  • 空調業者との衝突回避(ダクト・配管の干渉)

  • 夜間・土日工事の可否、施設側の受け入れ体制

👉Point: 工事がスムーズに進まない最大の原因は、事前の工程調整不足です。


✅ フェーズ②:保守点検・法定点検前の確認事項

消防設備業者にとって、定期点検(6ヶ月・1年)は収益の柱であり、施設側の“命綱”でもあります。

🔹 1. 点検対象の確認

  • 法定点検対象か(消防法第17条3の3・3の4)

  • 点検種別(機器点検/総合点検)

  • 点検対象設備と箇所の把握(図面との照合)

  • 点検の履歴・前回の報告内容の確認


🔹 2. 許可・届出関係

  • 点検実施にあたり、立入許可・鍵の手配が必要なエリア

  • 防災センターや警備会社への連絡調整

  • 火災報知器の発報を伴う場合は消防署との事前連絡が必要


🔹 3. 点検中の安全配慮・周囲対応

  • 点検作業による誤報防止(“点検中”表示の徹底)

  • 高所作業・脚立使用に伴う安全管理

  • 一時的な火災報知機の停止がある場合、施設側と使用時間を確認

👉Point: 点検は「設備のため」ではなく、“利用者のため”に行っているという視点が重要です。


✅ フェーズ③:報告書作成・提出前の確認事項

点検が終わっても、報告書提出が不備だと全てが台無しです。

🔹 1. 書式・提出先の確認

  • 使用する書式が最新の消防法令に準拠しているか

  • 提出先は正しいか(建築主・管理会社・消防署等)

  • 提出期限に余裕があるか(年1回または6ヶ月以内)


🔹 2. 記載内容の正確性

  • 設備番号・位置図・点検結果の整合性

  • 是正が必要な項目の報告と写真記録の添付

  • 是正対応のスケジュール明記(軽微・重大の分類)

👉Point: 点検報告書は、施設が消防署の監査に備える重要な証拠資料。誤記や漏れがあると信頼性を損ないます。


✅ 消防設備業の質は「準備力」に宿る

消防設備は、普段は目立たない存在ですが、いざというときに人命と建物を守る最前線の装置です。
その設置・点検・更新に携わる消防設備業者には、“段取りの質”=事前確認の徹底が強く求められます。

トラブルの9割は、「事前に確認すれば防げたこと」。

だからこそ私たちは、
✅ 法令を読み解き、
✅ 図面を正確に把握し、
✅ 工程を関係者と共有し、
✅ 利用者への配慮を忘れない

そうした積み重ねが、安心と信頼をつくる消防設備業者の“プロの仕事”なのです。


📋 最後に:消防設備工事・点検の事前確認チェックリスト

区分 確認事項
法令関連 用途・面積・設置基準・管轄消防署との協議
工事 設置設備、電源、連携業者、施工順序
点検 点検対象の把握、届出手続き、立入許可、安全対策
書類 最新書式、提出先、記載内容、写真記録の有無

 

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